滑落場所Map
  



     
振子山手前の親指ピークにて           日赤病院でハローベストを取り付ける
 この時は順調に縦走をしており          為の鉄のリンクを頭に取り付けられた
 午後からの下山途中で滑落事故         この時点では未だ首の固定具を装着
 を起こすとは思いもしていなかった。  


事故発生日
 2005年6月4日 PM1:00頃

事故状況
 4人グループで、下記の大山周辺周遊ルートを歩く予定でした。
 川床・・・大休峠・・・野田ヶ山・・・振子山・・象ヶ鼻・・ユートピア小屋・・・宝珠越え・・元谷・・中ノ原スキー場・
 ・・川床
 ユートピア小屋で休憩後、三鈷峰に登り、その後、宝珠越えから元谷に下っていた途中で約120mも滑落
 してしまいました。
 気がついた時には、鳥取大学医学部付属病院の緊急病棟で、滑落前の30分程度前迄しか(宝珠尾根を下り
 始めた頃)記憶が全く残っておらず、自分ではなぜ滑落したのか記憶が無く事故状況は後ほど同行者から
 聞き取った内容です。
 もうすぐ、砂走りに近づくあたりで、木立の間を転がる様に滑落し、そのまま止まらずさらに「砂走り」の斜面を
 落ちていったそうです。何とか120m程度滑落した時点で岩場に引っかかり止まったそうです。この岩場に
 ひっかからなかったら、さらに数百m落下し、まず命は無かったそうです。
 最初は意識が無かったそうですが、首が痛く、右手がしびれて動かないと駆けつけた同行者に訴えたそうです。
 同行者の通報で、地元警察関係や消防関係者等、約45名が2時間程度後に救助に駆けつけて頂き、元谷
 の林道終点まで交代で担架で運んで頂きました。この時には、緊急運搬用としてヘリコプターも「大川寺」の
 部落まで待機してくれたそうです。
 林道終点地点には、鳥取大学のお医者さんも救急車に同乗されて来ており、早急な手当をしていただきました。
 事故は地元新聞や神戸新聞に実名で報道もされました。
 家族には同行者が連絡していただき、びっくりして収容された米子の病院まで駆けつけてくれました。主治医
 より状況説明を受けた時は相当ショックを受けたそうです。それでも当日米子に宿をとり、翌日には救助して
 いただいた関係者の方々へのお礼参りもしてくれたそうです。


事故による損傷

1.首の一番上の骨の損傷(骨折)
2.頸椎(首の骨部分)神経圧迫により、右手先他、手足先端部のしびれ
  特に右手の手のひらから指にかけてのしびれが痛いほど強い状態となっていました。
3.右手筋力が一瞬にしてほとんど無くなってしまった。
4.頭部、および手足の裂傷      

事故による治療
1.鳥取大学医学部付属病院(6月4日〜6月10日)
 運び込まれた鳥取大学医学部付属病院(米子市)で首部の検査をしてもらった結果、首部 の骨折は手術も
 難しいので固定により骨の形成を待つことになりました。
 入院後4日目ぐらいに首部の固定具を装着。
 固定具を装着した時点で、ベットから起きあがる事が許されました。
 頭部および手足の裂傷部はすぐに縫って頂き、3日間程度で抜糸出来ました。

2.姫路の日赤病院に転院(整形外科に入院)
  6月10日に息子の運転により自分の車で鳥取大学医学部付属病院から日赤姫路病院に転入院しました。
  日赤病院で゜もCTスキャン、MRI等での検査の結果、骨折部の手術は難しく、しびれ部や首の痛みがひど゜く
  ならない限り手術は行わない方が良いとの判断でした。
  今回のに事故では、即死か全身麻痺の可能性が非常に高かった状況の中で、この程度の症状(後遺症)
  は受けれざるを得ないでしょうと説得されました。 
   
  鳥取大学医学部付属病院で処置をしていた、首部の固定具では骨折部分の固定が弱い可能性が有る
  との事で「ハローベスト」と言う強固な固定金具を2ヶ月間取り付ける事になりました。
  「ハローベスト」とは
  まず頭部に固定するパイプを取り付ける為の鉄のリンク(孫悟空がはめられた様な物)を頭蓋骨に4本の
  ビスでアンカーの様に取り付けます。(部分麻酔で取り付けたが3日間程度痛みが堪えた)
  上半身にプラスチックで出来たベスト(ムートンで内張してある)を着せられ、このベストと鉄のリンクを4本
  の鉄のパイプで接続し、頭をごと完全に固定してしまいます。
  ただ、治療には良いのかも知れませんが、重いのと、上半身及び頭を洗うことが出来ないし、枕にもフィット
  しにくいので寝にくく、少しつらい期間でした。
  
  ハローベストの装着及び、毎日のリハビリにより、右手の筋力の及び、運動機能はほぼ回復してきました。
  (手足、指等動かなくなった部位はなくパソコンも使えます)
  主治医の先生及びリハビリの先生のおかげです。
  8月10日にCTスーキャン検査の結果、骨折部の骨の形成も出来てきており、8月12日にやっとハロー
  ベストを取り外す事になり、従来取り付けていた首部の固定具に戻して8月13日に退院となりました。

3.退院後
  退院後の現在は自宅療養と2〜3回/週のリハビリ通院及び1回/2週間の診察をうけています。
  また自宅周辺の坂道歩き、3Kgのダンベルでの筋力アップの自主トレ行っています。
  左手指先、両足指先も少ししびれ感覚が残っていますが、後遺症として辛抱出来る範疇です。
  右手掌のしびれはもう少し軽くなりたいのと、冷房の良く利いた部屋に入ると右足首部が冷えて痛くなる
  症状が気になっています。
  とはいえ、事故状況から即死、全身麻痺等が免れた事は救助に当たって頂いた方々や、同行者の方々、
  及び家族のおかげです。感謝しています。
  

                         
  

滑落事故報告(大山、宝珠尾根から下山中)