2007年度の夏山歩きは、北アルプスの槍ヶ岳から西鎌尾根を歩きたくて色々ベストなコースを昨年から思案していました。
オーソドックスなコースは、新穂高から左俣を詰めて双六小屋経由で、西鎌尾根を槍ヶ岳迄登り、右俣の槍平経由で新穂高温泉に戻る周遊コースであるが、初日に双六小屋まで登るのは過去に登った経験上昨今の体力では自信がなく、途中の鏡平に泊まると翌日の行程が中途半端になってしまう。そこで考えたのが平湯のアカンダナ駐車場に車を止めておき、上高地経由で槍沢を詰めて槍ヶ岳に登り、西鎌尾根を下って、双六岳往復、鏡平経由で新穂高温泉に下る反時計回りコースを取ることにしました。
今年も梅雨明けが少し遅れ加減でしたが、結局2日目の槍沢登り時のみ雨にたたられた以外はまずまずの天候で、ハイライトの槍ヶ岳から双六、鏡平を歩いた3日目は雲一つ無い晴天に恵まれ、あこがれの槍ヶ岳を中心に北鎌尾根、槍穂縦走路尾根、西鎌尾根の裾を広げた景観を充分に堪能する事ができました。

日程
7月24日:夕方姫路発 深夜 平湯温泉アカンダナ駐車場着   車及びテントで仮眠

7月25日(曇り):アカンダナ駐車場--バス--上高地・・・・槍沢小屋(泊) 
         
7月26日(雨のち曇り):槍沢小屋・・・槍沢・・・槍ヶ岳山荘・・槍ヶ岳・・槍ヶ岳山荘(泊)
         
7月27日(晴天):槍ヶ岳山荘・・・・・西鎌尾根・・・・樅沢岳・・・双六小屋・・・双六岳・・春道・・双六小屋・・
          ・・・弓折乗越・・・鏡平山荘(泊)
7月28日(晴れ後曇り):鏡平山荘・・小池新道・・左俣林道・・ワサビ平小屋・・新穂高温泉--タクシー-アカンダナ駐車場--
         平湯温泉入浴---姫路着

歩行距離の合計は42.2Kmとなり、ほぼマラソンコースの距離を歩いて来たことになりました。
水平・垂直図にリンク(PDF)

同行者:日野夫婦、Oご夫妻、Mさん


 

7月25日(水) 曇り
歩行距離 14.2km
歩行時間 約5時間
上高地 河童橋
早朝上高地に到着。残念ながら河童橋から見える景色は岳沢上部にガスがかっており、絵はがきの姿は見せてくれませんでした。本日は距離は長いが標高差があまり無い槍沢小屋までなので、時間をつぶしながら梓川沿いを歩いて行くことにする ピーカンを期待していましたが、明神岳の先端はガスっています。
梓川沿いを歩く
景色はいまいちですが、元気に山歩きモードに入って行きました。 横尾大橋
涸沢へはこの橋を渡っていきますが、槍ヶ岳へは槍沢方面へははまだまだ梓川伝いに歩いて行きます
常念岳からの沢と合流する一ノ俣。ここまで来ると山道らしくなってきました。この日は槍見ヶ原で昼食を食べた後、早めに槍沢小屋に到着しました。
夕方からは雨が降り出し、明日の天気が心配です。
7月26日(木) 雨、後曇り
歩行距離    6.0km
歩行時間    6時間 
7月26日は前日夜半から降り出した雨が上がらず、雨具を着込んで槍沢を登る羽目になってしまいました。
結局、槍沢を5時間かけて槍ヶ岳山荘に到着するまで雨の中の登山となってしまった。槍沢中腹にはお花畑や雪渓が広がっていましたが、ゆっくり鑑賞する余裕もなく、あえぎながらひたすら上を目指して登るだけだったので、この間写真を撮る余裕もありませんでした。
しかし、頂上が見えず、焦らず登ったお陰で突然目の前に槍ヶ岳山荘が見えた時は5時間の登りにも関わらず、案外早く到着出来た様な気がしました。
左の写真は、雨がお昼過ぎにやんだのでこれから槍の穂先に登りに行くために小屋前に集合したメンバーです。
槍の穂先に登る 槍ヶ岳頂上
険しい岩陵帯を鎖や梯子を利用して槍の穂先を目指します。
PM2時前に無事に槍の穂先に到着。ガスがかかり景色は全く見えませんが、穂先に立ててそれなりに感激し、大満足です。
私たちが槍ヶ岳の頂上に到着した時には未だガスがかかった状態でしたが、夕方の6時頃になると突然ガスが晴れて青空をバックにした槍ヶ岳の穂先が姿を見せてくれました。
この時は余りにも突然ガスが晴れたので、この日小屋に宿泊されていた方は我先に小屋の外に出ようとしたのですが、小屋のスリッパが少なかったので出られなかった方は小屋の中から悔しそうにされていました。
幸い、スリッパを確保した私達は小屋からから飛び出し、小屋の前庭でこの写真をOさんの奥さんに写して頂きました。記念になる1枚です
たまたま、この時に槍の穂先に登られていた好運な方が羨ましい思いです
7月27日(金)  晴天
歩行距離     12.2km
歩行時間     10.7時間
槍ヶ岳の夜明け 笠ヶ岳
槍ヶ岳の穂先をシルエットにした幻想的な日の出。
本日は快晴を予感されます
西側に位置する笠ヶ岳。山腹には槍穂高の姿が影に写っています。全く偶然で、写真を見て気が付きました
中央の細い稜線が槍ヶ岳の西鎌尾根です。ここを双六小屋目指し下って行きます。後方は双六岳、三俣蓮華岳 ほぼ西鎌尾根の核心部は下ってきました。周辺にはお花畑が広がっています。
前樅沢岳辺りの縦走路を歩く私達。
槍の肩を出発して約3時間歩いた所です。
槍ヶ岳を中心に北鎌尾根と西鎌尾根、そして穂高連峰への稜線が裾を広げた美しい景色です。この景色を見たくてこのコースを設定したのです
槍から穂高に続く、大喰岳、中岳、南岳、北穂高岳、奧穂高岳の稜線と西鎌尾根 笠ヶ岳の全景。 でっかくて綺麗な姿をしています。
中腹の尾根には鏡平山荘が見えます。(本日宿泊予定の小屋)
縦走路途中で槍をバックに記念撮影
双六岳頂上
槍ヶ岳をAM5:30に出発して5時間程度かかって、やっと双六小屋に到着。休憩を兼ねて少し早い昼食をとった後、荷物は小屋前に置いたまま双六岳へ挑戦です。
今年は残雪が多く、双六岳への急斜面は雪渓に覆われ、一部は危険な個所も有りました。何とかキックステップとストックに頼って双六岳への広い稜線に到達する事が出来ました。
双六小屋から1時間少々で双六岳に到達。
本日は鏡平まで行かねばならないので、頂上ではあまりゆっくりも出来ず、記念撮影も慌ただしく撮って下山です
左:シャクナゲ  右:黒百合 双六小屋への下りは登ってきた道は危険と注意書きされていましたので、「春道」と名付けられた迂回路を「中道」に向かって下って行きました。ところでこの道はどのガイドブックにも掲載されていません。良い道なのになぜでしょう?
三俣蓮華岳、鷲羽岳、水晶岳など裏銀座コースの贅沢な嶺峰を見ながらの下山も素晴らしいです。
双六岳から双六小屋まで往復2時間15分程度かかりました。双六小屋であらためて荷物を背負い今日の宿泊地である鏡平に向かいました。鏡平まで約2時間の行程です。
右は双六小屋から一旦弓折乗越の稜線まで登った時の槍穂の写真です。
弓折岳への稜線に有る雪田の周辺は大きなお花畑になっており、槍穂高を望みながらゆったりと休憩するのに良い場所です。 弓折乗越の分岐。
ここから鏡平目指して下って行きます。
朝5時30分に槍の肩を出発して、やっと鏡平山荘に到着したのはPM4時を過ぎていました。本日は11時間近く歩いた事になり、へとへとで到着しました。この池には槍穂高の姿は映っていませんでした。
夕暮れ前の一瞬、鏡平山荘から見える槍穂高の稜線が西日に照らされ赤く染まりました。私自身もこの瞬間を狙っていたのですが、タイミングを逸し撮影出来なかったのですが、同行者のOさん婦人が逃さずカメラに納めてくれていました。この夏は梅雨明けが遅れており、鏡平からこの様なすっきりした槍ヶ岳の姿が見れたのは久しぶりとの事でした。私達夫婦は今回のやま歩きは小屋泊まりでしたが、全て自炊で通し、今晩の夕食で9食目です。残すは翌日の朝食のみなので、鏡平山荘前のテラスで槍・穂高の稜線を見ながら贅沢な夕食となりました。また、小屋で生ビールも調達して、今回の山歩きのハイライトが天候に恵まれた事と、メンバーのがんばりを祝して乾杯し、ゆったりした時間を過ごさせて貰いました。
鏡平からのパノラマ(合成写真)
7月28日(金) 晴れ後曇り
歩行距離   9.8km
歩行時間   4時間
前日、鏡平山荘に到着した時には、山荘すぐ横の池からは槍穂高の姿が映る様にも見えず、鏡平山荘前のテラスからの景色も木立に少し遮蔽されていたので、山関係の書籍に書かれている鏡平からの景色に少し不満を持っていたのですが、翌日早朝に鏡平山荘を出発して100mも歩かないうちに鏡池が現れて、湖畔には撮影用のテラスまで設置されていました。
ここからは槍穂高の姿が池に映る定番の景色が広がっていました。昨日のうちに気が付いていれば赤やけした槍・穂高の姿が池に映った写真を撮れたのにと贅沢な悩みですが悔やまれます。
とはいえ、今日も晴れ間が望む絶好の下山日です
笠ヶ岳の稜線を見ながら小池新道を下っていきます。
結構この下りは長く、登って来られる方はきのどくな気がします。
笠ヶ岳の稜線を見ながら小池新道を下っていきます。結構この下りは長く、登って来られる方はきのどくな気がします。 「シシウドが原」あたりでのOさんご夫婦
谷底にやっと蒲田川左俣林道が見えました。近くに見えましたが、到着までまだまだ時間を要しました
小池新道出会いから林道を少し下って来るとワサビ平小屋に到着。後は1時間強林道を下っていくと新穂高温泉のバスターミナルに到着です。 工事用資材荷揚げ中のヘリコプター。
新穂高温泉に到着したのですが、バスターミナルで確認すると平湯方面のバスは出た後で、次は1時間45分後との事。待ちくたびれるのでタクシーを呼びました。(メンバーは5人なので待ち時間を節約でき、割り勘にするとバス代より少し割高程度の費用で平湯アカンダナ駐車場の車横まで載せていって貰えました。)
車に乗り換え、駐車場からも近く平湯温泉発祥の湯である「神の湯」に浸かってきました。ここはひなびた所にあり、男女別棟の露天風呂が有るだけです。(入湯料500円)
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